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COVID-19と対峙する麻酔科医のためのリンク集

COVID-19 pandemicを受けて、欧米ではすでに定時手術を含めた通常診療が制限され、今後日本でも麻酔科医がICUないし手術室でCOVID患者の診療に当たることも十分に予想されます。 以下のリンクが、お役に立てば幸いです。 随時更新していきます。 ...

2020年7月1日水曜日

心臓麻酔勉強会 テーマ:大動脈弁狭窄症(AS)とAVR (2020/6/25)

今年度入職し,心臓麻酔をやりはじめたばかりの先生方を主な対象に,ASとAVRの基本的事項の確認を行いました。以下,私の作成した簡単なメモ書きです。

ASの分類

加齢性変性(石灰化):最も多い

リウマチ性:近年減少傾向

           各交連が癒合する

先天性:二尖弁,一尖弁,四尖弁

→若年性に進行する

         “bicuspid aortopathy”

全人口の(     )%が先天性二尖弁

 

ASの定義

Vmax(    )m/s, mean PG(     )mmHg, AVA(     )cm2severe ASの診断基準

AVA indexとは?

Vmax(    )m/s, mean PG(     )mmHg を一般的に”Very severe AS”と呼ぶ

 

正常な成人のAVA3-4cm2

 

ベルヌーイの定理 maxPG=4 × v2

 

AVAの計算方法

planimetry

―連続の式

AVA  =  (AreaLVOT  x  VTILVOT)  ÷  VTIAV

*連続の式の問題点

*圧回復現象

Gorlinの式

 

診断に困るAS

Low flow, low gradient AS

左室機能低下があり,一回拍出量が低下するため最大流速が4m/s以下だがAVA<1.0cm2

ドブタミン負荷エコーが有用

 

SV20%以上増加した場合,

AVA<1.0cm2で,Vmax 4m/s以上→true severe AS

AVA>1.0c2pseudo AS 手術適応外

 

Paradoxical AS

LVEFは良好だが左室が小さいためSVが小さく,Vmax 4m/s以下だがAVA<1.0cm2

 

ASの病態生理

ASの本態は,左室に対するpressure overload

Laplaceの法則

 Wall stress P * R / 2h

→代償機構として左室壁が肥厚する(サルコメアのparallel hypertrophy)求心性心肥大

→左室コンプライアンスの低下,拡張障害

+心筋酸素需要の増加,心内膜下虚血の進行

→最終的には全体的な収縮力低下,遠心性心肥大をきたし心不全が進行する

 

ASの手術適応(SAVR/TAVR)

症候性のsevere ASClass I (JCS, AHA)

無症候性のsevere AS

LVEF低下(<50%)Class I (JCS, AHA)

―運動負荷試験で症状出現:Class I

―その他の心臓手術と同時:Class I

Very severe ASClass IIa (JCS, AHA)

―運動負荷試験で血圧低下:Class IIa

 

Moderate AS→その他の心臓手術と同時:Class IIa



ASの手術の麻酔のポイント

大原則:低血圧を許容しない

理由は?

 

―前負荷の維持

 CVPPCWP

―心拍数

―“後負荷“

―リズム

 

術中の心筋保護

 

人工心肺離脱のポイント



#AS AVRは、心臓麻酔駆け出しの麻酔科医にとってうってつけの症例といえます。人工心肺手術のエッセンスが詰まっているし、心停止中の心筋保護が良好で、うまく洞調律で立ち上がってくれれば、カテコラミンをむやみに使わなくとも程よく前負荷を維持する限り良好な血行動態が期待できると思います。しかし、落とし穴もあるので注意が必要。ピットフォールについてもみんなで話し合いました。

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