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COVID-19と対峙する麻酔科医のためのリンク集

COVID-19 pandemicを受けて、欧米ではすでに定時手術を含めた通常診療が制限され、今後日本でも麻酔科医がICUないし手術室でCOVID患者の診療に当たることも十分に予想されます。 以下のリンクが、お役に立てば幸いです。 随時更新していきます。 ...

2020年2月12日水曜日

アナフィラキシー Complications in Anesthesia 輪読会 Chapter 129 (2020/2/4)

”Complications in Anesthesia (3rd edition)”の輪読会を行っています。

https://www.amazon.co.jp/Complications-Anesthesia-Lee-Fleisher-FACC/dp/1455704113


Chapter 129 Anaphylaxis and Anaphylactoid Reactions

Case - 54歳女性, ATH+BSO
propofol, fentanyl, vecuroniumで麻酔導入, 2g cefotetan div
→血圧低下、昇圧薬に抵抗性
エピネフリン100mcg bolus→持続投与
アナフィラキシーの診断で手術は中止。患者はICUへ。
1週間後再手術が予定された。どうする?

アナフィラキシー = rapid-onset, systemic, life-threatening allergic reaction
軽度の血圧低下や気管支攣縮でも、それをアナフィラキシーと認識できないと、同じ抗原に再度暴露された際に致死的になりうる

古典的にはアナフィラキシー(IgE-mediated)とアナフィラクトイド反応(non-IgE-mediated)に分類される

第4級アンモニウム塩(食物、化粧品、その他薬剤に含まれる)への暴露により感作されIgEが産生される→筋弛緩薬などと交差反応を起こす

周術期のアナフィラキシーの原因
第1位:筋弛緩薬(30-50%) 第2位:ラテックス 第3位:抗菌薬
頻度:1/3500 〜1/20000といわれる
非周術期のアナフィラキシーと比較すると重篤になりやすい(背景疾患などのせいで)

アナフィラキシーは二相性反応に注意(10%に起こる)

肥満細胞や好塩基球から放出されるメディエーター(ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエンなど)により血管拡張+気管支平滑筋収縮 が起こる
non-IgE mediated pathway:カリクレイン、ブラジキニンが関与

Kounis syndrome:冠動脈にある肥満細胞が活性化→冠動脈攣縮

β遮断薬やACE阻害薬を内服しているとより低血圧が重篤になりやすい

筋弛緩薬のアナフィラキシー→大抵はその他の筋弛緩薬にも交差反応性がある
ペニシリンアレルギーの場合、第1世代セフェムは注意 第2,第3世代セフェムはOK?
卵、大豆アレルギーは必ずしもプロポフォールによるアレルギーのリスクにならない。
真の局所麻酔薬アレルギーはまれ:添加されたエピネフリンや溶媒に対する反応であることが多い

Bezold-Jarisch reflexに注意→アトロピンを使うと病態を悪化させて心停止になりうる

血中トリプターゼ濃度:25mcg/L以上で有意
アナフィラキシー後60分でピークに達し、半減期は2時間
蘇生直後, 1時間後, 2時間後, 6時間後, 24時間後に提出すべき

プリックテストや皮内テストは、アナフィラキシーを起こしてから4−6週間後に行うのが望ましい(直後だと偽陰性になりうる、メディエーターが枯渇しているから)

治療
輸液 最低1-2L
アドレナリン 過量投与に注意 ivなら10-50mcgからはじめて、100-300mcgに増量
※β遮断薬内服患者では、グルカゴンを考慮
β刺激薬吸入
ステロイド、抗ヒスタミン薬


#雑感ですが、トリプターゼは外注検査でかつ保険適応外だと思うので、そんなに頻回には採血できないですよね。あくまで傍証にすぎないかと。基本的には臨床診断です。
周術期のアナフィラキシーは、皮膚反応(全身発赤や蕁麻疹)が出ないことが多いように思います。

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